キミと、世界の果てまで。
Scene9 キモチの一方通行
聞き間違え。
そう思えたら、どんなに楽なんだろうか。
「未来…」
身体に突き刺さるような視線と、はっきりとあたしを呼ぶ声に、身動きが取れない。
今あたしはクロスの杖を持っていて、完璧に言い訳が出来ない状態に陥っている。
というか、クロスの杖を何の言い訳に使うのかって話だ。
「未来、だよな…」
「―――っ…!!」
声に導かれるように、身体全体を使って振り向く。
視界に入ってきたのは―――紛れも無い、寛司だった。
あたしの事を探していてくれたんだろうか。寛司は息切れが激しい状態で、あたしに近付いてくる。
「何なんだよその杖」
「え…っと、いきなりどうしたのよ、寛司」
「話逸らすな。俺の質問に答えろ」
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