キミと、世界の果てまで。
Scene12 欲しがっていた物
途端に、一滴の涙が落ちる。
なぜなら、この体温をあたしは知っているからだ。
ずっと、前から。
声に出来ない感情が心を支配する。身体を少しだけ捩じらせて、視線を斜め上に持っていく。
そこには、およそ一週間ぶりに姿を瞳に映す事が出来た、大切な大切な腐れ縁が居た。
「かん…じ…」
「泣いてんじゃねぇよ。俺が泣かしたみたいじゃんか」
「…バカ!そうに決まってるじゃん!おばさんもレンも、みんな心配してたんだよ?寛司の大バカモノーっ…!」
寛司の胸板に、あたしの拳が突き刺さる。
だけど想像以上に逞しい寛司の胸板は、ビクともしなかった。
ハアハア…と息を荒げるあたしをジッと観察しながら、寛司はあたしの身体に回していた腕を解いた。
「ごめん、未来」
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