キミと、世界の果てまで。



「何だ?コレ…」




鬼ごっこを止め、寛司は漆黒の穴に近付いていく。


なんだか、嫌な予感がする。


ダメ、寛司…、その穴に触れたら―――!!




「寛司、逃げてっ…!」



「は?」




文化祭の愛海ちゃんの時と同じように、あたしは寛司の腕を力いっぱいに引っ張ると、ベッドの下へと押し倒す。


次の瞬間、ベッド上に出来たその穴は、ビュンッ…!という風を切るような音と共に、あっという間に姿を消した。



今のは、何だったの…?



寛司に覆いかぶさっている自分の身体を起こした瞬間、今度は廊下へと繋がる寛司の部屋のドアに穴が出現した。


穴…というか、やっぱりブラックホールという表現が近い。


空気は吸い込まれ、風となり、寛司の部屋の物を容赦無く吸い込むと、また姿を消した。




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