キミと、世界の果てまで。
昨日あれだけ泣き叫んでいた愛海ちゃんが、血を流して道路に横たわっている。
ウソだ…
イヤだ…
「愛海ちゃぁーんッ…!」
あたしの叫び声に反応した血塗れの人々が、ゆっくりとあたし達に近付いてくる。
恐怖で足が動かない。
チッと舌打ちをしたレンは、ただ震えているだけのあたしを担ぎ、寛司の腕を掴むと、背中から銀色の翼を生やす。
狂いに狂った人々があたしに触れようとした瞬間、レンは翼を羽ばたかせて大空へと舞った。
間一髪だった。
寛司を掴んで飛んでいる為、いつもよりやや不安定だが、それでもあたし達は風となり、空を飛んでいる。
あの残酷な光景がフラッシュバックする中、レンはあたしと視線を合わせないまま、静かに言い放った。
「あれは…夢だ。すぐに忘れろ」
「え…」
「もしミライがナカタに近付いてみろ。ミライもあの騒動の巻き添えになってたんだぞ?そうすれば誰がこの世界を救うんだ?」
「それ…は…」
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