キミと、世界の果てまで。



寛司の言葉に、思わずハッとしてしまう。



―――寛司は今だにレンを自分の従兄弟だと信じており、異世界の騎士だという事は知らないまま。


そんな寛司を今まで騙してきた、あたしとレン。



最後の最後で、寛司に秘密がバレてしまうのかな―――?



そんな心の中の不安は、クロスの一言によって掻き消される事となった。




「まだ思い出していないのか、あらゆる記憶を」



「は…?」



「滑稽だな。俺は既に覚醒しているとばかり思っていたが…。こんな奴に丁寧に接する訳にはいかない」




…え?何を言ってるの?


記憶?覚醒?聞きなれない言葉のオンパレードに、あたしはレンに助けを求める。


が、レンは何故だか切ないような表情を浮かべていて、あたしは言葉を発する事が出来なかった。




「こうなったら、無理矢理にでも覚醒して貰うぞ」




クロスの手が、寛司の頭部を掴む。


今から起こる光景を想像するだけで、あたしは見えない恐怖に襲われた。




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