キミと、世界の果てまで。
目の前には、誰も居ない。
ただ残っているのは、唇に感じる確かな体温だけ。
レンは、自分の世界へと帰ってしまった。
「レンに、自分の気持ち、言い損ねちゃったな…」
ハハッと笑って見せるけど、それは完全なる自分への慰めであり、ただ単に虚しいだけ。
そして、寛司が旅立って行ったばかりの空を見上げる。
ちゃんと天界に辿り着けたかな?あたしの事、今も見えているかな?と考えるあたしは、何処までお人好しなんだろうか。
地球に一人取り残されたあたしは、不思議とレンや寛司の後を追いかけようとは思わなかった。
だって二人の言葉通り、あたし達はまた逢える、という確証を持っているから。
「あ…そういえば…」
すっかりやつれている自分の顔をブンブンと横に振ると、あたしはそっと制服のポケットを探る。
あたしの手には、赤、黄、青、緑、茶、それぞれの色を持ったチャームが乗っかっていた。
そういえば、あたしはまだ願い事を唱えてはいなかった。
世界を救う事の出来た人間の、唯一の称号を―――
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