キミと、世界の果てまで。
カバンの中からお気に入りのマフラータオルを取り出し、額に滲み出した汗を拭き取る。
「そ、そういえば寛司。アンタなんで今日早く行ったのよ」
「あ?俺未来に理由言ってなかったっけ?」
「聞いてない!まったく聞いてない!」
この様子だと、寛司はあたしに早く学校に向かった理由を話していたと思い込んでいるらしい。
あたしは寛司に対して怒っているはずなのに…なんだか怒る気すら失せる。
寛司は、シルバーのシンプルなピアスを輝かせながら、少し面倒臭そうに話し始めた。
「別に大した話じゃねぇんだけど、昨日から俺の従兄弟が、俺ん家に住み始めたんだ」
「寛司、従兄弟いたんだ」
「まぁな。ソイツ俺とタメなんだけどよ、今日からこの高校に通う事になってさ」
「編入するって事…?」
あたしの質問に、寛司は静かにコクンと頷いた。
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