キミと、世界の果てまで。
相変わらずの寛司のナルシストぶりに若干引きながらも、あたしはレンの方を盗み見る。
女子に囲まれているレンは、あたしの視線に気付くと、小さく手を振ってきた。
その表情には、自意識過剰かもしれないけど、他の女子には見せていない、素のレンが入っているような気がして…
「―――やっぱりムカつくッ!」
「どうしたんだよ未来」
「なんか顔赤いよ未来ちゃん」
赤いと指摘された顔をマフラータオルで隠しながら、あたしはレンから視線を移した。
なんだか、レンに完全にペースを崩されている気がしてならない。
レンの考えている事が分からないし、あたし自身も、理解出来ない―――
「ま、未来がおかしいのはいつもの事か」
「おかしいって何よ!」
「そのまんまの意味だよ、み・ら・い・ち・ゃ・ん?」
「やっぱり寛司!アンタが誰よりも一番ムカつくわー!」
再び寛司と言い合いになりかけた所で、授業開始のチャイムが鳴り響いた。
レンの事も、寛司の事も、どちらとも腑に落ちないまま、今日もまた一日が始まる―――
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