キミと、世界の果てまで。



レンの身体は、灰色の世界に向けて急降下していく。


風を切るように、風になったように。


あたしはパッと目を開くと、どんどん目の前に迫っていく灰色の砂と化した森に向かって、クロスの杖を伸ばした。




「ミライ、何してんだよ」



「いいからレン!見てて!!」




あたしは得意げな表情でレンを見て、ニッと笑う。



―――今ね、確かに聞こえたんだ。

無愛想で、口数が少ないけど、この世でたった一人しか居ない、“相棒”と呼べる存在の声が。




―――「ミライ。俺を翳(かざ)して、そして叫べ」―――




クロスの言葉通りに、あたしは杖を砂の方に向けて、フッと頭の中に浮かんできた呪文を唱えた。




「Crossing and start!」




瞬間、クロスから金色の光が放たれ、砂と化した森を突き刺した。




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