愛して欲しいなんて言わない(番外編)

クレア嬢

突然
そっと腕を掴まれて
俺の歩みが止まった

振り返ると
そこには金髪の女が立っていた

「隼夜、久しぶり」

温かい手が俺の腕に絡み
青い瞳で見つめられた

「クレア…来てたんだ」

俺はとっさのことで
ぎこちない笑顔になってしまった

モデルのように
すらりとした体系だか
胸はしっかりとある

「おじ様から聞いてたくせに
相変わらず冷たいのね」

クレアは俺より一歳年上だ
普段はイギリスにいるはずなのに
どうして日本にいるのか

「あら、本当に知らないの?
私、日本の高校に留学したのよ」

「あっそ」

「んもう、少しは嬉しい顔をしてよ」

「手、離して」

俺はクレアから離れると
理菜を探した

空になった皿を手に
ぼーっと立っていた

おかわりしたいのかな?
それとも
飲み物が欲しいのかもしれない

「あの子がどうしたの?」

クレアが俺の視線に
気がついて
理菜を見つめた

「いや、別に」

俺は視線を外して
鈴子さんを探した


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