愛して欲しいなんて言わない(番外編)
「え?
もう帰っちゃうの?」

クレアが残念そうな声をあげた

「これからが
いいところじゃない
このままが嫌なら
シャワー浴びてくるわ」

俺はベッドの上にいるクレアに
首を振った

クレアはキス以上の行為を
望んでいる

俺はキスすら苦痛に感じていた

「帰るよ」

俺は上着を羽織ると
クレアの部屋を出て行った

下着姿のクレアだ
追いかけてくることはないだろう

俺はエレベータに乗ると
一階に下りた

ロビーにはまだ多くの人がいた

パーティはとっくに終わっている

なのにロビーでは
男たちが名刺交換したり
携帯のアドレスを交換したり

煙草を吹かしながら
会話を楽しんでいる奴らもいた

俺は大股で出口へと向かう

ふとソファのかげに
ピンクのスカートが見えた

え?

俺は頭を動かして
ソファを見た

理菜が小さくなって床に
寝ころんでいた

毛布もかけず
ただごろんと横になっているだけ

俺は理菜の両親を探した

見当たらない

くそっ
どこに行ったんだ

俺は
まだ幼い少女を抱きかかえると
フロントに向かって歩き出した
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