愛して欲しいなんて言わない(番外編)
5分も待たなかっただろう

ドアがノックされて
女の甘い声が聞こえてきた

「あのぅ
さきほどは失礼しました

娘の世話をしてくれたようで…」

ドアの向こうでゴマすりが
始まる

俺はドアを開けると
すでに男の姿は無かった

帰ったのか
隠れたのか

どっちでもいいが…

面倒な奴らだ


「この子、ちゃんと
家に帰って寝かせてくれるの?」


「え?
ええ、もちろん
申し訳ありませんでした」

「別に
床に寝かせておくなんて
親としてどうかと思うよ」

「え、ええ
そうですよね~」

「『餓鬼が五月蠅いわね
さっさと帰りなさいよ
面倒くさい!

社長の息子だからって
偉そうにしてんじゃないわよ

私は愛人との時間がなくなって
苛々しているのよ』って

あんたの顔に書いてあるよ」

女の顔が真っ青になったかと
思うと

今度は真っ赤になった

怒りで目が吊り上がりそうに
なるのを必死に抑え込んで
いるようだ

見ていて
面白い

いじめがいがありそうだ
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