流れ星
「ゆ、うひ先輩………?」
「夕陽でいい。
朝陽で良いよな?」
わたしは黙って頷く。
夕陽………
見た目は恐いのに、優しい人なんだなぁ……。
「夕陽は……いつもここにいるの?」
そう聞くと視線はあたしから夕日に変わる。
「ときどき。
ダチとの約束がないときに来るんだ。」
………そうなんだ。
けど………なんでそんなに寂しそうに…………
「朝陽はなんでここ来たんだよ。」
夕陽なら………
「彼氏に……振られたの。」
そう……………
ついさっきあたしの彼氏、笹木懸斗(ササキケント)と別れた。
理由はたった一つ………
懸斗の浮気。
懸斗はあたしの親友、森崎栗菜(モリサキクリナ)とも付き合っていたんだ………。
あたしと栗菜は仲が良くて懸斗の相談もしてた。
最近までずっと相談を聞いてくれたのに…………
あたしはさっき、中庭でキスをしてるところを見てしまった。
悲しくて誰もいないところに行きたくなって、屋上に来たんだ。
そしたら夕陽がいた。
あたしは夕陽に全てを話した。
その間、夕陽はずっと頷きながら聞いてくれて話やすかった。
「…………そうだったのか。
そいつ最悪だな。」
……………最悪……か。
浮気って恋人のせいでもあるって言うし、もしかしたらあたしが原因なのかもしれない。