愛して。
今度は体の力が一気に抜けて、拓真くんのスウェットが入った紙袋を落としてしまった。
その音に気付いて二人が私の方を向く。
どうしよう.....っ。
加奈さんの目が大きく見開いたのが分かった。
「.....あなた....もしかして....」
はぁ....見つかったか。と拓真くんのため息が聞こえた。
逃げなきゃ!!!
これ以上拓真くんに迷惑かけたくない。
落とした紙袋を拾ってエレベータに戻る。
「え....!?麗花っ!!!?」
拓真くんの声が聞こえる。
私は急いで1階のボタンを押した。
ドアが閉まってエレベータが動きだす。
私ってタイミング悪すぎ......
溢れそうになる涙を必死にこらえた。
1階に着いて自分のマンションへ向かって走る。
私の家はここから歩いて30分。
凄く近い。
こんなに一生懸命走るの久しぶり。
とにかくここから少しでも、離れたかった。
「.....かっ!!
れいか!!!」
後ろから声が聞こえる。
大好きな声。