生徒vsテロリスト?



……。


水が奏でる音だけが、
空間を支配する。


…ポチャン。


(俺…ヤバいんじゃねぇか…?)


今、金石は水面に仰向けに浮いている状態だ。


靴は脱ぎ捨てて、
朝着替えた体育着は着たまま。


顔だけが水面から出ている。


(…もう何時間経ったんだろう。

早く戻りたいのに、戻れない。

こんなところに閉じ込められて、
俺は溺れ死んでいくのか…?)


もう、天井は近い。


恐怖心が金石を容赦なく襲ってくる。


(…岬なら…。
アイツなら、


こんな状況でも挫けずに、
決して諦めずに、
抜け出す方法を考えて、
脱出できるだろうが…。

俺には……。)


"出来ない"


"もう無理だ"


鼻が天井につき、
徐々に水が顔をおおっていく感覚に、


金石は覚悟を決めた。


(…みんな…ごめん……。)


《…オイ。》


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