ヒサイチ

長いキスの後、ゆっくりと私の唇から自分の唇を離したヒサイチが

「シャワー浴びるか?」

と聞いて来た。


一瞬何のことか分らなかったが、彼の私を包むような眼差しに、段々と意味が分かって来た。


分かってきたのに頭の中は白くなって行く。


思考が停止しそうだ。


何も応えられない私を、ヒサイチは見つめながら

「俺は浴びなきゃ駄目だな。昨日から何時間も車内に籠って、顔さえ洗ってない」

と笑いながら言った。

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