ヒサイチ
私は眠りから覚めてそれが、夢なのか現実なのかしばらく分からなかった。
しかし三分もすると明らかに夢だと、私の小さい脳は判断した。
夢から覚める
・・・まさにそんな感覚だった。
そしてすぐに嫌悪感に襲われた。
あんな風に私の気持ちなんて何も考えずに、まるで私に人格があること自体忘れてしまったかのように去って行った文也を、まだ未練がましく思っていた自分に呆れた。
私は文也が恋した彼女に振られて、自分のもとに帰ってくることを心底望んでいるのだろうか?