ヒサイチ
マイッタ
嫌な天気だった。
梅雨だから仕方ないといえばそれまでだが、朝から薄暗いというのは困ったものだ。
時間の感覚が麻痺して、一日が終る錯覚に陥ってしまうのは私だけだろうか?
出勤の道程、ぼんやりとそんな事を考えながら歩いていた。
きっとそんな私は、ひどくドン臭さかったのだろう。
無言で各々の勤め先へ向う人の波は、私を歩道から車道へ押し出した。
いつも間にか私は歩道からはみ出していた。
その時、後ろから走ってきた車が、私のすぐ脇を通り越して行った。