ヒサイチ

「おい、なに黙ってるんだ?」

「想像していた」

「何を?」

ヒサイチの目が吊り上る。


「中学生の時にヒサイチに襲われる自分」

「馬鹿か。有り得ないって言ったろ」

「うん」

「気分悪いか?こんなこと言われて」

「大丈夫。全然、大丈夫だから」


そう言って笑った私の目の前に、ヒサイチの手が差し伸べられた。


そして

「ゴメンな。ちょっと調子に乗りすぎた」

とヒサイチは言った。

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