ヒサイチ

『よかった・・・』


私は男の言葉に胸を撫で下ろして答えた。

「大丈夫です。何ともありません」


男はじっと私の顔を見たまま

「とりあえず助手席に乗ってください」

と言った。


言いながら、少し眉をひそめた感じがした。


親切そうな言葉とは裏腹な男の声音や表情が、私を警戒させた。



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