ヒサイチ
しかし、男のはっきりとした物言いに、私はびびっていた。
自分がこの男の言う事に逆らうのは無理だと感じて
「はい」
と小さく返事をし、男の車の助手席に乗り込んだ。
男の車は私が乗ったことのない右ハンドルの外車だった。
「急に車道に落ちたでしょう?貧血でも起こしたんじゃないですか?」
道幅があまり広くないこの車道に、そう長くは停車していられないのだろう。
男はすぐに車を発進させながら聞いてきた。