ヒサイチ

文也の会社はきちんとした組織には程遠く、彼は多忙極まりない毎日を送っていた。


私の方は比較的安定した会社なので、時間に余裕のある私は彼の身の回りの世話をよく焼いた。


私は週末には、必ず彼のマンションを訪れた。


そして気を抜くとすぐにゴミ溜めのようになる部屋を掃除し、晩ご飯を作って真夜中に帰宅する彼を待った。


午前一時、二時を過ぎてから、帰宅した彼と一緒に食事するのが習慣になっていた。

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