ヒサイチ
ヒサイチは無表情でメニューを開くと、ほんの少し間、左の眉を吊り上げてじっと見つめ、すぐに注文のベルを押した。
「和定食とドリンクバー二つ」
ヒサイチの低い声が店内に響く。
店員に注文をする彼の姿をあらためて見ると、ヒサイチは背こそそれほど大きくはいないが、カラダは筋肉質で形が良く、顔も締まっていて男らしい。
こういうのをイケメンと言うのかもしれない。
何となく周囲の視線を感じる。
文也と一緒の時には経験したことのない感覚だ。