ヒサイチ
「おっ、お前も大人になったな。昔だったら押し黙って人のこと無視してたのにな。まあ、いいさ。ガキの頃はいつもしゃがみ込んでパンツ見せてた奴が、何も今更、恥ずかしがる事もないだろう。そうだ、もう飯来てるんだよ。飯、飯」
飯、飯、言いながらヒサイチは階段を上がって行ってしまった。
「パンツ見せてた・・・?」
私の口から出た言葉は、ヒサイチがいなくなってしまったので、完全に独り言になってしまった。
私はヒサイチから聞かされた昔の自分像が、あまりにも自分で思っていたのと違い過ぎていたことに、ショックを受け始めていた。