ヒサイチ

「何も考えずに忘れようなんてしない方がいい。よく考えて自分の中で合理化するんだ。失恋した事実を。その方が癒えるのが早いぞ」

「でもいい。なら水族館の方がいい」

「そうか、水族館か。行きたいところが決まってよかったな」


そう言いながら席を立ったヒサイチは、私の肩を軽く叩いた。





 

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