ヒサイチ
あの時、私はどんな気分だっただろう?
失恋の痛手のせいか、ちゃんとは思い出せないが、大して何も感じていなかった気がする。
文也は日頃忙しいから休日は体を休めたいだろうに、外でデートしてくれた事に、嬉しいと言うより『何か悪いな』と、気が咎めたような覚えがある。
文也にもっと余裕ができたとしても、こんな風に毎週のようにデートしたいとは思わなかった。
ただ結婚して子供ができたら、月に二回くらいはこういう場所へ連れて来て貰わないと困る、とは思ったけど。