ヒサイチ
「なんて言うか、えっと、何だか女性が好むようなマンションだなと思って」
入ってすぐにエレベーターがあり、ヒサイチがボタンを押すと、すぐに扉が開いた。
「一年前まで同棲してたから、彼女の趣味だ。このマンションは」
「彼女出て行っちゃったの?じゃあ、寿一君も振られたの?」
ヒサイチの背中に続いてエレベーターに乗り込みながら、咄嗟に聞いてしまった。
七階のボタンを押したヒサイチは束の間、壁にもたれ掛かりながら答えた。