ヒサイチ
ウ~ン
「うおっ、一ヶ月閉め切りはやっぱり臭いな。窓開けて窓」
玄関を入ってすぐ慌てたようにヒサイチ言った。
私は急いで部屋に上がり込み、リビングのバルコニーへ通じる窓を開けた。
ヒサイチは寝室の扉を開けて、思い切り音を立てて窓を開けている。
留守にしていたせいか、それとも元々几帳面なのか、部屋は思いの他、整理整頓されていた。
私は立ったままリビングを見回し、少し大きな声で隣室のヒサイチに話しかけた。
「きれいだね、部屋」