ヒサイチ
窓を開け放したヒサイチは、リビングに戻って私に二人がけのソファーに座るように勧めた。
そして私の隣にどんっと座りウエットティッシュで手を拭きながら私に聞いた。
「お前、何食べる?」
「私は何でもいいよ。食べないかもしれないし」
「でも腹減るかもしれないだろ。どれがいい?言えよ、取って置くから」
言葉は相変わらず雑だが、拍子抜けに優しいヒサイチに私は少し戸惑った。
戸惑いながら私はローテーブルに並べられた食べ物と飲み物を真剣に見回した。
どれも自分の食欲を呼び起こすことはないと思われたが、以前よく食べていた玉子サンドを手にした。