夢恋Star
《女子100メートルに出場する選手の方はトラック100メートルスタート地点までお集まり下さい》
アナウンスが流れる。
きっと、彼は見てる。
絶対、翔は見てる。
もう一度、
スパイクの紐を結び直して。
もう二度と感じる事のできない、今日のトラックを感じた。
大好き。
大丈夫。
あたしはあたしの走りをするだけだ。
目をつぶる。
歓声が消える。
あたしだけの、
100メートル。
走り切ってみせる。
夢を見るために。
夕焼け空に走った、あいつみたいに。