マンホール
「お願いします!きっとこの子は賢くなります!あたしは高校の教師です!旦那は大学の教授で、子供を賢くするには自信があります!」


無茶苦茶ないい分に役人もさすがに困った。


「それでは上司に聞いてみますので」


どこからか携帯を取り出し、手慣れた手付きで電話をかけた。

先ほどよりも、緊迫した空気が流れる。


思っていることは皆同じだった。

どうか…どうか生きる権利を与えてあげてください


涙を流している看護士もいた。


「…はい、はい。えぇ、そうです。119の赤ちゃんが産まれまして…」


静かな分娩室には役人の声が響いた。
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