マンホール
「上司は

赤ちゃんの『未来に希望をかける』と言っていましたので………

ご出産おめでとうございます」


役人はペコリと頭を下げた。

看護士や医者の歓喜の声が分娩室にあふれた。
一人の赤ちゃんの命が救われた!
医者たちも経験したことのない生命の誕生だった。



役人は「ですが…」と話を続ける。



「一歳になりましたら保健所にお越しください。その時にIQ125があるかどうかテストをします」




もう琴美にその言葉は耳に届いていなかった。
安心と喜びと疲労感で意識が途絶えていた。
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