マンホール
多分、距離はそんなに遠くなかった。

右を曲がって左を曲がって………






走ってる最中に何度も叫び声が聞こえていた。



あたしは怖かった。どうなっているのか分からないし犯人がまだいるのなら殺されかねない。


でも菊久乃は止まろうとしなかった。


まるでその叫び声に引き寄せられるように

真っ直ぐ前を見て、走っていた。




「はぁ、はぁ、……」


菊久乃はようやく止まってくれた。


さっきまで聞こえていた叫び声が聞こえなくなった。でも確かにこのあたりから聞こえたはず。


そっと一歩ずつ歩き出す…。
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