マンホール
指紋もなにも残っていなかったからな…

あるのはあの死体とマンホールの蓋だけだった。





蓋は奇妙なことに綺麗に一列に並んでいた。全ての蓋だけが。


マンホールになにか意味があるのか?





俺はいい加減におかずを取ろうと思い立ち上がった。

とりあえず、焼き魚とご飯と味噌汁。


ベタな昼食だ。でもお腹にたまるし魚は好きな方。

手慣れた手つきで魚の小骨をどかしていく。


だが骨を見た瞬間にドクンと心臓が動き出す。



さらに、箸で骨をもちあげると記憶は鮮明に映し出された。



俺は



ぐちゃぐちゃの肉に骨が突き出ている死体を魚の小骨とかぶらせていた。



「おぇっ……」



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