マンホール

 

周りは一瞬にして俺を見た。口に手を当て、あたりを伺う。

「…すいません」


申し訳なさそうに頭を下げる俺に

イラついたような顔で客は自分の座っていた席につく。


胃がムカムカしているので味噌汁とご飯を食べて

慌ただしく、店を飛び出した。


「はぁ、はぁ、……」





まだ胸はドクンドクンと忙しく脈を打っている。


死体を見るのは慣れっこなのに…どうして…





眉間に手をあてて、ため息をついた。



まだ事件はなにも分かっちゃいない。
俺が解決しなきゃ誰が事件を解決するんだ。


そんな大げさな言葉で自分を励ましながら、警察署へ戻った。
< 37 / 116 >

この作品をシェア

pagetop