マンホール
「藤東さん!どうしたんですか?そんな血相変えて」





驚いた顔で俺の顔を見た、こいつは部下の 阪田俊明<サカタトシアキ>(32)


まだまだ新米の刑事だ。俺の顔を心配そうに伺い、手に抱えている書類を机に置いた。


「い…いや…なにも。事件のことで煮詰まっていて…」


阪田は椅子に座りほんのわずか笑みをこぼした。


「藤東さんもそんなことあるんですね」


そのわずかな笑みは嫌み的なものではなく、俺の新しい一面を見て嬉しい、と言ったような笑いだった。

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