マンホール
マンホールの蓋には血のあとがびっしりとこびりついている。

田坂は驚いたように


「おかしいな、マンホールの蓋は署に持ち帰ったはずなのに」


持ち帰ったはずのマンホールの蓋がここにある訳ない。俺は田坂が言い訳しているのだと思い、じろりと睨みつけた。


「いや、あの、その…。すいません」


再び、マンホールのほうに目を向け、じっくりと眺める。

やはりなにも手がかりになるようなものはなかった。


「とりあえず、近隣住民に話を聞いてみるか」


ふぅ、とため息をつき、立ち上がった。
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