マンホール
俺はくるりと振り返り、次に向かおうとした。

「あんたらなにしてんの?」

隣から女の声が聞こえた。見ると、それはいかにも「おばさん」だった。

「私たちは警察のものです。最近の事件の話を伺おうと思いまして。このあたりで殺人事件があったのですが知りませんか?」


おばさんは「あらまぁ。そんなの全く知らなかったよ。パトカーが来てるのは知ってたけどねぇ」


いかにも世間話が好きと言った感じで、興味津々に俺たちのところへ駆け寄った。


「ところで、ここには誰も住んでいないよ」


おばさんはサラッと言い切った。
< 49 / 116 >

この作品をシェア

pagetop