マンホール
教室はざわめきクスクスと笑うような声も聞こえてくる。

もしかして、変なこと聞いたのかな…?

先生は目を細めて微笑む。そしてゆっくり口を開く。


「大島なんてうちのクラスにはいないじゃない」

「…は?」

「まだ寝ぼけているの?」



先生はフフフと笑い、ガラガラとドアの音をたて教室を出ていった。

パタンと閉まったあとはいつものざわざわした教室に戻った。


大島くんがいなかった?でも確かに昨日まではいた。あたしは知ってる。大島くんは確かにこの教室で授業をして、笑ってた。………じゃあなんで?


あたしは菊久乃の方を見つめる。菊久乃もあたしを見つめている。
< 76 / 116 >

この作品をシェア

pagetop