マンホール
「そうだね」

菊久乃はこくりと頷き、難しい顔をした。

「でも原因探すったってどうすればいいの?」

菊久乃はあたしに聞いた。そんなのあたしにだってわからないけど…とりあえず、大島くんの家に行ってみよう。

「大島くんの家に行くとかは?」


菊久乃は再び、頷いた。あたしも頷く。あたしたちはわかっていなかった。もう引き戻せないとこにいるだってことを…


先生が来て、大島くんのいない教室でいつも通りに授業が始まった。

大島くんにあげるはずのチョコレートはいくあてがなくなり、寂しげにカバンの中でたたずんでいた。
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