マンホール
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時は経ち、放課後になった。あたしたちはカバンを持って大島くんの家に行く。


ずっと前に大島くんにどこらへんに住んでいるのか聞いたことがある。あたしはその記憶を頼りにしながら歩みを進める。確か一戸建てだった。

ひたすら歩くこと20分──────



「……茜音が言ってる番地ってここらへんじゃない?」


菊久乃はいきなり立ち止まると古い一戸建てを見つめた。


「……ほんとだ」



菊久乃はためらいなく呼び鈴を押した。聞き慣れたチャイムが遠くで響いているのが聞こえる。
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