マンホール
時代が進化し、体重計のように乗せただけでIQが計れるようになった。

いやな時代になったものだ。これでIQ120なかったら…どちらか殺される。


琴美はもう手を重ねて祈るしかなかった。


どうかどちらもIQ120ありますように…


琴美は高校の教師だった。旦那は大学の教授をしている。
もしかしたらIQ120もあるかもしれない。
僅かな希望を胸に祈った。


ピーピーピーピーピーピー…
計測中の音がする。
赤ちゃんは相変わらず泣きっぱなしで琴美は今すぐ抱きしめてあげたかった。



「一人目の……」



役人はくるりと振り返って発表しようとした。


ごく…っ




皆が生唾をのみ、聞く覚悟をした。
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