マンホール
大島くんは座っているあたしのところへ近づいてしゃがみこむ。そして手を差し伸べた。あたしは拒むことなくその手を受け入れる。



大島くんは微笑んだ。あたしもつられて笑った。




「あいつに殺されたら死ねない。死ねないやつは────」



なにか言いかけたその時に大島くんの口から血がこぼれた。あたしを握っている大島くんの手はちぎれた。ちぎれたあともなお、あたしの手を握りつづける。


大島くんはおかしくてたまらないと言うように甲高い声で笑い転げる。大島くんは笑いながら目に手を突き刺した。目から血が溢れてくる。
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