マンホール
「だけど茜音が…っ茜音はマンホール事件の犯人に狙われて…っ」


母は半泣きになりながら声を荒げて言った。父は口に人差し指を当て、「静かにしろ」と言った。


「茜音が起きたらどうするんだ」


父は母を怒鳴りつけた。…あたしが…マンホールの…マンホールってあれ、だよね?あたしが最初に見た…

父は話を続ける。



「今回も茜音が死体を見つけた。多分犯人の仕業だと思う…」


リビングのドアをそっと閉め、階段を上がる。父の声が遠くなる。

部屋に入り、ベッドに座る。…あたしはあのマンホールの事件の犯人に狙われている。お父さんが言ってた言葉を思い出す。
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