マンホール
冷たく静かな廊下を歩き続ける。しだいに靴箱が見えてきた。冷たい風が頬を撫でてく。


辺りはすでに暗かった。さっきまで茜音達の声も聞こえていたはずなのにいつの間にか聞こえなくなっている。

さすがに1人ぼっちは怖い。千夏はあたりを見回した。だがやっぱり誰もいなかった。


「補習なんか行かなきゃよかった」


独り言を呟く。その声や言葉は床や壁に当たって返ってきた。しんとしていて不気味だった。


靴に手をかけ、履き替える。できるだけ早く学校を出たかった。
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