ショート・ミステリーズ!短編集その1
7月の夕方。
蝉の声。
散らかった部屋。
散乱した弁当の
トレイ。
ビデオテープ、
ホラー小説の山。
瀬戸竜一は部屋に
戻ってきた。
鼻歌混じりで。
スーパーの袋を
提げて。
冷蔵庫を開き、
缶ジュースを
一本空け、
ゴミ箱に放り投げた。
カラン、と空虚な音が
部屋に響いた。
そして
鎖で繋がれた彼女。
ベッドの四本の柱から
両手両足に鎖が
延びている。
名前も知らない彼女。
まだ十代では
ないだろうか。
やせ衰え、
手足は棒のよう。
ただ、瀬戸は
彼女をマリアと
呼んでいる。
蝉の声。
散らかった部屋。
散乱した弁当の
トレイ。
ビデオテープ、
ホラー小説の山。
瀬戸竜一は部屋に
戻ってきた。
鼻歌混じりで。
スーパーの袋を
提げて。
冷蔵庫を開き、
缶ジュースを
一本空け、
ゴミ箱に放り投げた。
カラン、と空虚な音が
部屋に響いた。
そして
鎖で繋がれた彼女。
ベッドの四本の柱から
両手両足に鎖が
延びている。
名前も知らない彼女。
まだ十代では
ないだろうか。
やせ衰え、
手足は棒のよう。
ただ、瀬戸は
彼女をマリアと
呼んでいる。