ショート・ミステリーズ!短編集その1
ぼくの目に涙が溢れてきた。

ちがうよ、藤原さん。
ぼくは
田中さんじゃない。

恐れていたことが
現実になってしまった。
彼女の頭は、もう……。


「それで山田さんはどうしてここへ?」


涙を拭い、
精いっぱいの笑顔を作った。


ぼくは彼女の傍へ近寄り
頬にキスをした。





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