Adagio-四音の奏-

「碧海、今回はそういうのは一切無し!美瑛の合宿は全員参加、以上!」

自分でも驚く程、キッパリとした言葉が口から飛び出した。
なんなの?この決意表明みたいな宣言は?
まるで、“行かなくてはならないのは僕”…みたいな。
自分に言い聞かせるような一言だった。
それを聞いた三人はちょっと驚いたような表情で顔を見合わせ何かを言いかけたが、その先は始業のチャイムに遮られ、彼らは名残惜しげに自分たちの席へ戻っていった。


パサッ…ファサ…カサカサ…

教室のカーテンが乾いた音をたてながら大きく膨らむ。
微かに潮の香りを含んだ午後の生暖かい風が、僕の汗ばんだ顔をスルリと撫でていった。


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