Adagio-四音の奏-
突然声をかけられ、僕はいつのまにか傍に立つ彼女に必要以上にどぎまぎして体を起こした。
「話って…まさか合宿の…」
「うん。二人で話せるかな?」
僕の問いを途中で遮り、彼女は”詳しくは屋上で…”と言い先に立って歩き出した。
僕は”二人で話せる?”というフレーズにこの先起こる展開への不安感と、その中に潜めた不埒なときめきを押さえながら、華奢な彼女の背中を見つめ屋上への階段を登っていった。