Adagio-四音の奏-

僕たちは交わす言葉もなく、ガラス張りの展望室へ入った。



…何処となく居心地の悪い沈黙…。

松浦は、決心したように大きな瞳で僕の顔を真っ直ぐに見つめ口を開いた。


「合宿なんだけど…どうしても行かなくちゃ…だめかな?」

「…どういうこと?」

悪い予感は的中した。
僕は掌にじっとりと生暖かい汗をかきながら、努めて冷静に言った。



< 28 / 75 >

この作品をシェア

pagetop